今、痴漢に注目が集まる理由。山手線に防犯カメラ設置
JR東日本は山手線の全車両に、防犯カメラを設置すると2016年6月6日に発表した。
3年後の東京オリンピックを見据え、2018年から設置を開始し、2020年までに全車両に取り付ける。
防犯カメラはドアの上の運行情報を掲載しているディスプレイの横に埋め込まれ、およそ20億円の費用がかかるという。
在来線でも既に防犯カメラが設置されているものがあるが、それらはデッキのみや、一部の車両のみであるから、全車両に設置されるのは山手線が初めてとなる。
僕は普段から、電車を移動の手段として利用している。
カメラの設置によって、これまでと何が変わるのか、考えてみた。
防犯カメラを設置した事例
実際に、防犯カメラを設置した事例がいくつかある。
埼京線では混雑が激しく、痴漢が多発していた一号車に設置した。
2009年まで埼京線は都内路線の痴漢摘発数でワースト一位を獲得し続けていた。
しかし、車内カメラの設置で痴漢が激減し、2010年にはワースト一位ではなくなった。
(2011年以降のデータは見つからなかった)
新幹線では、2015年6月に起きた放火事件を受けて、客室に2016年から順次監視カメラが設置されている。
それまでは、乗降口にしか設置されていなかった。
これらのカメラの目的は、犯罪の抑止と摘発、または発生時の収束を目的としている。
埼京線での例は、痴漢などの軽犯罪が起こったときに犯人の特定がしやすくなる。
そのため、痴漢の抑止となり、実際に痴漢の発生数は激減した。
新幹線での放火事件は、防犯カメラのない客室内で、事前に準備が進められたことが分かった。
そのため、それまで客室にはなかった防犯カメラを新たに設置することになった。
この他にも、成田エクスプレスや常磐線特急と普通列車のグリーン車、東海道線のグリーン車などのデッキに設置されている。
なぜ今設置するのか
最近の報道で目立つようになった痴漢問題が最も大きな理由となっている。
痴漢と疑われて、線路内に降りたりするものが現れるようになった。
また、最近は痴漢冤罪保険なるものもあらわれている。
このような行動やサービスが現れた背景には、人々が痴漢に対しての認識を強く持ち始めていることに起因する。
これはいいことであると僕は思うのだが、誤った知識を持ちながら行動に移してしまうことが残念に思う。
このような世間の傾向や、度重なる事件などを受けて、鉄道会社側も対策するしかなくなってしまったというわけだ。
そのため、防犯カメラの設置は痴漢騒動に講ずる手段なのだ。
こちらの記事にあるように、まさに痴漢の影響力は過去最大に上っている。
なぜ今に痴漢が注目されはじめたのか
僕の個人的な考えだと思ってほしい。
近年、世界はテロの脅威にさらされている、と日ごろの報道を見て思う方は多いだろう。
ヨーロッパ諸国では既に多くの国が、テロ攻撃を受け、善良な市民が亡くなっている。
日本はテロ攻撃などされるはずがない、と考えている人はいないのではないだろうか。
多くの日本人も、そのうち自分達が攻撃されるときがくると考えている。
また、日本人は北朝鮮という、外的な恐怖を感じる相手を身近に持つ。
未だ直接的な攻撃はないが、ミサイルが発射される度に嫌な気持ちをもっているはずだ。
そう、今世界的に人々は緊張と恐怖を身近に感じている。
突然の不幸、死、敵を身近に感じている。
だから、人々は保守的になり、自らの外的要因から身を離しているように感じる。
自らを守り、突然の出来事に対して対応しようと、無意識的に普段から意識するようになっているのだ。
それが、痴漢という最も身近で、自らに起きるであろう出来事に対しての意識を高めているのだろうと思う。
実際、痴漢とは電車で移動している人にとっては、自らが意識していなくても加害者にも被害者にもなりうる、稀有な犯罪だと思う。
加害者になるというのは、いわゆる冤罪だ。
万引きなどで冤罪になるというのは、なかなか聞かないから、誰も万引きに対してそこまで意識はしていない。
しかし、自分が痴漢の加害者になりうるのなら、意識せずにはいられないのだ。
普段から意識しているからこそ、余計に焦ったり、過度な反応をしてしまうから、線路内に入ったりしてしまうのだ。
普段から意識していなければ、大した行動はとれないものなのである。
終わりに
普段からそういったことに意識を持つことはいいことであると、僕は思う。
突然の出来事に咄嗟に対応できることは、今の世の中では必要なことだ。
でも、線路内に入るとか、そういう大それた行動はどう考えてもやってはいけないよね。